企業文明の外 5
ルビーンはこのようなアメリカ人の保守性を、1930年代における大衆文化のなかでとらえようとしています。
たとえばウォルト・ディズニーの漫画映画がそれです。
なかでも『3匹の子豚』は誰からも好かれました。
このテーマソングは「一夜にして国歌になった」といわれます。
さらにマーガレット・ミッチェル女史の『風と共に去りぬ』(1936年)は、100万部というベストセラーとなり、映画でも大当たりをとりました。
ルビーンはその人気について、「『風と共に去りぬ』の真の意義は、たいていの表現文化と同様な現実逃避にあるのではなくて、再確認にある」と述べています。
ちょうど大恐慌と同じように、突如として世界が南北戦争の混沌と不条理へと解体していくなかで、女主人公のスカーレット・オハラはこれに屈せず、農園の再建に立ち向かいます。
彼女はこういうのです。
「明日そのことを考えよう。そしたら耐えられるわ。明日、なんとかして彼(レット・バトラー)を取り戻す方法を考えよう。結局明日は別の日なのだから」と。
この大不況のなかで、アメリカ第1の富豪ジョン・D・ロックフェラーが1937年に98歳で息を引き取ったのは、ある意味では象徴的でもあり、皮肉でもありました。
オハイオの油田であれほど怨嵯の声を浴びた彼は、いまは新聞から「アメリカン・ドリーム」のシンボルとして尊敬を受けました。
たとえば『オブザーバー』紙は彼の生涯を、「質素倹約という素朴な美徳が生み出す」ものの典型的な例であり、アメリカ市民のすべてに与えられた「無限の可能性」の象徴であると讃えたのです。
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